無人配送システム (4) 未来の容器
無人配送システム (4) 未来の容器 消費者が商品を識別する仕組み
前回は、消費者がタグの付いた商品にスマートフォンをかざして情報を読み取り、ディスプレイに表示するという仕組みを紹介しました。(未来技術なのでスマートフォンからも読み取れるという設定です)
今回はタグの付いた商品を消費者が、どのように識別するのかという点について話したいと思います。
いくらRFID(ICタグ)が便利だといっても、消費者にとってはパッと見て商品名や種類を識別出来なければ不便ですので普及する見込みがありません。
では、どうすれば私達が商品を識別出来るでしょうか?
未来の容器には電子ペーパーが付いていて生産者が自由に書き換えられるようになる
生産者は製品管理の目的でRFID(ICタグ)を活用するだけでなく、商品の外側のデザイン、商品名を電子ペーパー化することによって製造にかかる無駄なコストを抑えることができるようになります。
従来までは紙製の容器に印刷したり、プラスチック容器にシールなどを貼って製品名や製品の情報を(印刷することによって)見せるのが普通でしたが、それが電子ペーパーになりますと書き換えが一瞬で行えるようになります。
これは容器に付いているRFID(ICタグ)と同様に非接触で書き換えが可能なため、製造段階だけでなく、販売店に並べた状態でも商品についている電子ペーパー(タグの情報も)を書き換えることが出来ます。
商品の売上が悪ければ電子ペーパーの商品名やデザインを瞬時に変更することが出来る仕組みで、期間限定のキャンペーンや値引き情報を書き換えることなど活用法は他にもあるでしょう。
商品名や製品の種類、デザインは容器に電子ペーパーを取り付ける(組み込む)ことで表示されるようになります。
○電子ペーパーに画像が表示されています
↓ 元の画像に変更を加えたい時はデータを送り
↓ 瞬時に書き換えることが可能
未来の世界では、生産者側は商品の製品管理の情報を電子データ化して扱い、消費者は商品の容器に付いている電子ペーパーによって商品を識別し、細かな製品情報である「成分表」や「使い方」といった部分はスマートフォンをかざしてスマートフォンのディスプレイに表示するという仕組みになっています。
この電子ペーパーは現在モノクロ表示ですが、いずれカラーになると予想します。
カラー化した後は何十秒かの映像(アニメーション)に対応するでしょう。(炭酸飲料なら泡が湧き上がってくる映像が表示されます)
電子ペーパーとRFID(ICタグ)のついた「未来の容器」が普及することで得られるメリット
1 この容器は使い終われば捨てたり、溶かして再利用するのでもなく、何度でも繰り返し使うことで、容器を製造するのにかかるコスト・エネルギーの消費を大幅に削減することが出来る。
コンビニや食品スーパーなどで売られている弁当(箸・フォーク・スプーンも含む)や消費者が直接入れるコーヒーなどのカップは洗うだけで再利用出来るものになります。(レストランの食器と同じで繰り返し使うことが可能)
2 製品管理の情報はRFID(ICタグ)によって全て電子データとして扱う。
3 商品名などのデザインは印刷ではなく電子ペーパーによって書き換えを行う。
4 容器やケースはロボット・AGVが運びやすいような形状に作られているため、コンベアやソーターなどと組み合わせて無人で仕分け、入出荷作業を行うことが可能。
5 自動倉庫型のトラック(自動運転車+EV車)が個人宅や販売店に商品を運ぶ。
6 お店では規格化された容器(商品)にはRFID(ICタグ)が付いてますので画像認識と組み合わせることで小型のアームロボットが棚に商品補充を行うことが従来に比べて何倍もやりやすくなる。
商品の価格表示は商品を棚に置けば、情報を読み取って自動で表示されるような仕組みになっています。
タグがついているので会計は一瞬で済みます。
コンビニや食品スーパーではパンやフライ系はガラス張りのショーケースの中でアームロボットが商品を掴み、必要な個数を容器にいれますので衛生的で、商品を製造するのに過剰包装の必要がありません。
ジュースなどのペットボトルや缶に入ってるものは、タグと電子ペーパーが付いた容器に切り替わります。
その為、もしかすると販売店で直接ボトリングすることも可能になるかもしれません。
7 消費者は電子ペーパーを見て商品を識別する。(商品名・製品の種類・デザイン)
8 商品の「取り扱い説明書」や医薬品の「添付文書」、食品の成分表・キャンペーン情報などは消費者がスマートフォンなどをかざして読み取ります(タグの中にデータを入れるのかネットにつなぐのか分かりませんが)
9 個人宅に配送され、使い終わって空になった容器・ケースはスマートフォンの専用アプリの「返却」を押せば、時間指定で無人の自動運転の回収車がやってきてくれます。
空になった容器を回収車にセットして返却します。
10 回収車が集めた容器を巨大な「回収倉庫」で管理します。洗浄・殺菌・保管・キズや壊れていないかチェック
この「回収倉庫」は殆ど作業が無人化されAIによって倉庫が制御される。
11 企業が生産に必要な容器を「回収倉庫」「保管倉庫」から取り寄せる。
取り寄せる容器の種類や数量というのは人が数えたり、書類に書き込んだり、目視チェックをする必要は一切なく、AIが組み込まれたソフトウェアによって自動で(ほぼ無人で)取り寄せを行ってくれます。
当然、容器を運んでくるのは無人のトラックになります。
※「未来の容器」のもう一つのメリットはポイ捨ての問題が解決することです。
商品を購入する際や、使い終わって回収に出す時に利用者のデータがやり取りされて、絶対にポイ捨てが出来ない仕組みになります。
容器を意図的に壊したり、悪意を持って汚くして返却することも出来ません。(画像認識で見逃されません)
当然、間違って無くしてしまったり、壊してしまった場合は、期間内に申請するなどの手続きが必要になります。
何度も続けば、容器の代金を支払うことになります。
「未来の容器」によって得られるものは、目先のコストダウンや利便性の向上だけでなく、無駄なエネルギー消費をしないことにあります。
将来、クリーンエネルギーによる電力に切り替わると環境負荷をかけずに「自然と調和した」本当の「循環型社会」が実現することになるでしょう。
「未来の社会」を想像してみますと、現在のように、わざわざ手間をかけて原材料から容器を製造、加工の過程で端材や不良品が発生し、印刷、運搬をして、使い終われば捨てるという無駄なエネルギー消費をしているとは到底考えられません。
もし、今と同じシステムが10年、20年先も続いていたとしたら、それは私たちの社会が何も進歩がなかったということなので「明るい未来」ではないのです。
勿論、このブログで主張しているような「無人配送システム」通りにならず、他のもっと優れた方式が採用されているかも知れません。
将来、どういった方式が主流になっているかは予想できないですが、今と大して変わっていなければ、残念ながら未来は暗いと思います。
○RFID(ICタグ)による電子データ化
○電子ペーパー化
によって「未来の容器」がロボット、AI、ソフトウェアとつながり生産の現場を変えます。
未来の世界では「工場」「倉庫」「販売店」「無人配送」でタグやロボットが活用され、業務の殆どをAI、ソフトウェアが制御することになるでしょう。