未来の新聞 未完成なインターネット
未来の新聞はこうなる
今回は新聞が将来どうなるのかについて考えてみたいと思います。
はじめに言いたいのは、この話は私が絶対にそうするべきだと強く主張している訳ではないという事です。あくまで予測に過ぎません。
今回取り上げる「未来の新聞」に関しては今後の社会状況や現在のテクノロジーのレベル、他のメディアとの関係性など様々な条件を考慮した上で導き出した予測シナリオになります。
おそらく、これが最も無理のない、いかにも未来的な、新聞のあるべき姿なのではないかと思います。
もちろん、いいか悪いか、受け入れられるかどうかは別にしての話ですが・・・。
ここまでの話で大体想像が付くと思いますが、
未来の世界では新聞紙から専用のタブレット端末に移行します。紙による新聞配達が終了し、配信に切り替わっているでしょう。
紙から電子へ
配達から配信へ
(もしかするとタブレットではなく、電子ペーパーを使った端末になるかも知れません)
予測シナリオとしては5~10年以内に移行が始まる可能性が高いと考えています。スマートフォンの普及を考慮すると正直10年は持たないと思っています。
もう、それほど時間が残されていないと思います。
基本的に今の若い人は新聞を購読している人が少ないないため、配信に切り替える方がメリットが多いのです。
つまり、このまま現状維持が続くと、新聞は少しずつ影響力や存在感を失っていき、他のメディア、具体的に言えばインターネットの情報発信に負けることは明らかです。
紙を配るというビジネスモデルに固執し続ける限り、インターネット企業に勝ち目がないのです。
しかし、まだ、可能性があると思える好条件が幾つかあります。それは今現在、新聞を購読している契約者に適当な理由をつけてタブレットへの置き換えを行うことが出来る点です。
紙からタブレットへの切り替えが上手く行けば、そこからのビジネス展開が期待できます。
○ 紙から電子に切り替わるとどうなるか?
・新聞の記事を1日に何度も更新する事が可能なため、読者を引きつけておく事ができる。(速報性)
・写真なども沢山載せることが可能になる。地味な紙面だったものが華やかになる。
・写真をクリックすると映像が流れる。(ニュース番組並のクオリティがある)
・紙に比べて記事の量に制限がなくなるため連載小説や、エッセイ、マンガなどコンテンツのボリュームを増やすことが出来る。
・広告の量を2倍3倍に増やすことが出来る。時間帯や読者の年齢、性別によって切り替えることも出来る。
・読者はタブレットに表示されている「印刷する」をクリックすればプリンターで印刷して紙でも読むことが出来る。
・折込チラシを電子として扱う。小さなお店でも地域ごとに広告を出すことが出来ます。例えば、パン屋さんが明日、チラシを出そうと思えばデータをアップロードするだけで済みます。(地域ごとの特色を活かす)
紙から電子に移行すると、このような事が実現されるに違いありません。
しかし、これくらいの事であればインターネットが既に実現しているとも言えるのです。確かに新聞紙が電子になったら便利になるかも知れないが、もう既にネットの世界はそうなっているのではないか?という訳です。もしくは、新聞が存在感を失ったとしても別に誰も困らないし、それが自然の流れなのではないか・・・と多くの人は考えるでしょう。
確かにそうなのですが、しかし、私が想像する「インターネットが当たり前になった世界」というのは、まだ実現していないのです。(ここからは少し話が脱線していきます)
未完成なインターネット
私の見方ではインターネットは未だに完成されていないと考えています。
そもそもインターネット自体が完成していないのです。
インターネットは歴史が浅く、急成長した分野です。ネットの世界を工場に置き換えてみると解り易いかと思います。ネットという名の工場は増産に次ぐ増産で、生産が追いつかず、2号棟、3号棟、4号棟と次から次に工場を拡張していった感じです。その雑多さがインターネットの魅力でもあるのですが、割と無計画に増設し続けてしまったので、後から振り返ってみるとゴチャゴチャして訳が分からなくなってしまったのです。
便利だけど不便というおかしな話になっているのです。
インターネットは不完全なまま放置されている。ある部分では発達し、別の部分では不便さが残った状態にある。
つまり、本当の意味で便利になっているとは言い難いのです。私たちが検索サイト、メール、地図、SNSなどを使いこなして生活が変わったのは確かですが、まだ、完全なかたちで生活に浸透する所までには達していないと感じています。
※ とてつもない労力が費やされてインターネットの世界が作られているのは事実なので、私が文句をつける資格は一切ないことは承知しています。
ワンクリック型広告
これは一つの提案としてですが、インターネットが未完成だと思う理由を説明するには、皆さんがWebサイトを閲覧している時に表示される広告を思い浮かべて頂けると解り易いかと思います。
その広告は、ある新商品が期間限定で50%値引きで購入出来る。大変お買い得ですよ・・・という内容だったとします。
しかし、まだ未完成なインターネットの世界では、私たちが、その広告を見て欲しいと思ったとしても、一発で(1クリックで)買うことは出来ないような不便なシステムで出来ているのです。
画面に表示されている広告には見えないようにメーカーや販売店のホームページのリンクが貼られていて、クリックすると、そのページに飛ばされて名前、住所、電話番号を入力。会員登録した後にアンケートまで答えなければいけません。このような煩わしさが残っている時点で、まだ、インターネットが水や空気のように当たり前になってるとは言い難いのです。
もし、これが本当に便利な「完成されたインターネット」であるならば、少なくとも、広告が表示されている場所の上で、購入しますか?「はい」/「いいえ」が表示される→「選択」→「購入決定」という位まで簡略化されている筈です。
mirainosekai.hatenablog.com
この仕組が出来上がったときには、↑の記事でも取り上げましたが、スマートフォンやタブレット・パソコンを操作せずに、街の中や、お店の中に設置されている広告からダイレクトに商品を購入することが可能になります。
あらゆるビジネスがIT化する
もう一つインターネットの抱えている問題として現実のサービスとの結びつきが希薄であるという点も指摘しておきたいと思います。
何故、これほどスマートフォンが普及しているにもかかわらず、レストランの席を予約することも出来ないのでしょうか?どうして全てのお店が対応していないのでしょうか?今ではネットで調べる行為も浸透してきましたが、何故わざわざ電話番号を調べるという手間がかかる行為が未だに改善されず放置されたままなのでしょうか?
その他にもマッサージ、ヘアーカット、ハウスクリーニング、乗り物の修理、水道、ガス、電気工事、庭木の剪定など。
もちろん、そう簡単には実現しない理由としてセキュリティや決済方法など多くの問題があると思いますが、インターネットが登場して何十年と経過しているにもかかわらず、未だに実現していないのです。
いつ頃になるか予想は難しいですが、もし、完全な自動運転車が登場した時には、それらのお店やサービス業はその時代に上手く対応しなければなりません。何らかの端末を用いて自動で予約を受け付けるシステムがないと話にならないのです。
これはAIというよりも自動化の話です。今のうちから自動化(省力化)に熱心に取り組めば、後からAIを「ポン付け」出来るのです。逆に将来、全く自動化が進んでいなければAIを導入するのは難しいでしょう。
これから先、ビジネスの世界では、どの店舗、サービスであっても予約の自動受付など管理システムが必要になると考えています。そして、そのソフトウェアは、いずれ自動運転車に対応するためにバージョンアップされていくでしょう。
近いうちにお店の運営、サービスを提供する側は管理ソフトを導入してビジネスのやり方を積極的に変えていかなければ生き残れなくなると思います。
再び、話は新聞に戻ります。
このようにして、まだ完成されていないインターネットの世界があって、完成させてくれるのが果たしてIT企業なのか、新聞なのか?テレビ局なのか?または、それ以外なのか?といった所は分かりません。(1社でやるというのは絶対に無理だと思いますが)
新聞が地域との結び付きに強みを持つ点を活かし、積極的にビジネス展開した場合どうなるでしょうか?(絶対にそうなるという予測ではありません)
1 買い物はより簡単に
食品だけでなく、医薬品、ホームセンター、書店、電気店など、やり方によっては現在主流になっているネット通販よりも早く届ける事が「理論上は可能になります」
mirainosekai.hatenablog.com
mirainosekai.hatenablog.com
店舗を倉庫に見立てて、そこから配達するという仕組みです。
(自動運転車が普及した時に仕組みは完成します)
2 テレビが変わる
まず、タブレットで新聞のテレビ欄を表示します。紙の新聞であれば各テレビ局と時間ごとに番組名と簡単な内容が記載されていますが、電子の場合は見たい番組をクリックすると(生放送以外は)放送の時間帯を選ばずに再生することが出来ます。さらに大画面のテレビに映し出すことも可能になります。
・テレビ番組のアーカイブス化が実現すると、過去のドラマを遡って視聴することが可能になります。過去の番組であってもCMを入れることは簡単です。つまり収益構造は維持されるのです。
・スポーツ中継ではメジャースポーツからマイナースポーツまで殆どの試合を放送することも難しくありません。選手のデータを確認することも出来ますし、試合のチケットを煩わしい手続きをしなくても購入できます。これは歌番組であっても同じことです。コンサートチケットや番組を見た時に気に入った曲を、その場ですぐにCDやダウンロードの形で購入することが出来るようになるでしょう。
・番組内で紹介した商品は画面の端の方にさりげなく「購入する」ボタンが表示されて視聴者はワンクリックで購入出来る。
また、従来の垂れ流しの放送から参加型のインタラクティブ(双方向)なものへ変化していく可能性もあります。
3 病院とつながる。
体調が悪い時には、タブレット端末のカメラを使ったテレビ電話で最短で医師とコミュニケーションを取ることが出来、適切な指示を貰えます。
4 災害時にも情報が届く
人が配達しなくてもいいので、電力と通信網さえ維持できれば配信が可能になる。道路状況に影響を受けない。
新聞(テレビ)が影響力を失ってしまった未来とは。
これは幾つかの予測シナリオの中の最も悪い場合になります。なので、必ずしもその通りになるとは限りません。一昔前のゲーム業界のイメージですが、それは、ちょうど家庭用ゲーム機のハードメーカーがハード事業から撤退し、普通のソフトメーカーになるのと似ているような感じでしょうか。ある日突然そうなる訳ではなく、ジワジワとそうなっていくと思います。ハード事業を止めるとライセンス料が取れないので、他のゲームソフトメーカーと同列に並んで競争することになります。 そして、ソフトが売れなければ確実に後退していくのです。
端的に言えば、将来「〇〇新聞」「○○テレビ」のアプリというようなスマートフォンアプリの一つになるという事です。もしかすると膨大に存在するアプリの中に埋もれる可能性があるかも知れません。そのアプリのアイコンをクリックして起動して貰わなければ、この世界に「存在しないのと同じ」です。
そして、 私たちの立場からすると膨大な数の中のアプリの一つに過ぎませんので、余程のことが無い限り、それを選ぶ理由はありません。他のゲームやSNSアプリと等価になってしまうのです。
スポーツ選手の例が分かりやすいでしょうか。努力次第でレギュラーになれるかも知れないが、なれないかも知れない。2軍落ちや怪我をするかも・・・といった熾烈な「競争」の世界です。
今回「未来の新聞」がどうなっているかを想像するのは思いのほか難しかったです。幾つかの予測シナリオの中にはネガティブな未来が存在しているのは確かです。今回は敢えてポジティブな視点で、こうなっていれば便利だろうなと考えて記事にしてみました。