無人配送システム (3) タグの仕組み RFID(ICタグ)
無人配送の仕組み(3) タグの仕組み RFID(ICタグ)
前回の続きです。
タグ RFID(ICタグ)の中には、あらゆる情報が入る
(ここで説明するタグというのは未来技術で作られている設定です。今あるものとは違っているでしょう)
規格化された容器にはRFID(ICタグ)が付けられ、そのタグの中には製品情報のあらゆるデータが入ります。
非接触でデータを読み書きして、製品名、製造日、商品の数量、製造工場名、出荷情報、配送先、販売価格などの製品管理が簡単に出来るようになるのですが、当然、それらのデータのやり取りは全て無人で行われます。
つまり、このようにして未来の世界ではコストをかけて紙箱(包装)を製造し、商品情報を印刷する必要がほぼ無くなる筈です。
容器(ケース)に付いているタグには製造側、配送側の製品管理以外にも重要な役目があります。
全ての商品情報を電子データ化してしまった方がコストダウンに繋がり、エネルギー消費の面でメリットがあります。
消費者の元に届いた「商品」から製品の「データ」を簡単に取り出せる「仕組み」があれば企業側の製品管理以外にも消費者にとっても利便性が向上するでしょう。
つまり、
製造段階の倉庫にある「商品」が最終段階の「消費者」に届くまでの全段階で印刷された情報ではなく「電子データ」を扱うだけで済むようになる。(紙箱やコードを印刷する必要がなくなる)
消費者に商品が届いたところの説明は無人配送システムの(1)と(2)で主張してきた「ケースにタグを付ける」と主張したこととは若干、矛盾するところがあるのですが、
電子機器、小物の雑貨、薬やサプリメントなどの説明書(添付文書)、食品であれば成分表、産地など……は紙箱の容器に印刷されるのではなく全て電子データ化されるようになるでしょう。
消費者が、こういった製品情報を見る場合、スマートフォンをかざしてネットにつなぐ仕組みになると思います。
製品にスマートフォンをかざすと画面に情報が表示される
つまり、商品が私たち消費者の元に届いた時に、スマートフォンを商品(容器)にかざすと、画面に商品情報が表示される仕組みになっています。
医薬品・サプリメントなどの添付文書であったり、あらゆる製品の、例えば電子機器・工具の取り扱い説明書、食品であれば成分表や料理の仕方などの情報、製造日、キャンペーン情報、会社の他の商品紹介などは、タグの中にデータで入れる場合も有ると思いますが、基本はネットに接続されてスマートフォンの画面に表示される仕組みになるでしょう。
(未来の世界ではスマートフォン以外にも色んな場所に映し出すことが出来るようになります)
※タグをスマートフォンで読み込める仕組みが必要になるかも知れません。
このような仕組みを構築すると、紙箱を作る場合では紙を製造してから印刷するコストがかからないで済みます。
また、ガラス容器であれば、原料からガラス瓶を作って印刷されたシールを貼る手間などが省けます。
品物の保存目的によってはガラス容器が必要になる場合があるので、全てが切り替わる訳ではないですが、ガラス瓶タイプはフタの部分にタグが付くかも知れません。
これらの仕組みは単純に製造工程を省略したり、コストダウンの目的以外にもエネルギー消費を考慮している側面が強いのです。
そして、もう一つ重要な点は
お店での商品管理・購入時にタグが利用されることで効率化を図れる
ということです。
先ず、お店側にタグのリーダーを棚に組み込む仕組みが必要になりますが、タグによってもたらされるメリットは
・ 商品を並べるだけで棚の全面に備え付けられたディスプレイに自動で価格が表示される。
・ お客さんが商品をカゴに入れてレジの所定の場所にセットすると一瞬で会計が終わる。
・ 未来の話になりますが、商品補充はアームロボットがバックヤードから並べることが出来るようになります。アームロボットの小型化が実現すれば店の中を動き回り商品補充することが可能になるでしょう。
タグによる情報と画像認識を使い商品補充を行う。
今まで画像認識だけでは難しかった事もタグによって、どの商品か一瞬で把握することが可能になる。
繰り返しになりますが
・ お客さんが購入した商品の容器(たとえば飲料、ガム、ビタミン剤、お菓子など)は使い終われば、回収され洗浄・殺菌が行われ容器自体に手を加えず、そのまま再利用されます。
製造現場に戻ってきた容器に再びデータを入れるだけで済むので外箱としての梱包材、印刷など無駄なコスト・エネルギーがかからなくなる。
当然、再利用する目的で洗浄・殺菌を行うとタグが壊れてしまうという懸念があります。
しかし、その程度の問題であれば、将来、何らかの技術によって克服されるのではないでしょうか?(かなり都合がいい話ですが)
ここからはタグの仕組みの話とは違いますが、
製品情報の電子データ化を徹底・容器の再利用によって本当の循環型社会が実現する
厳密にはエネルギーの定義を間違えているのかも知れませんが、分かりやすくエネルギーというものを拡大解釈して捉えるとこうなります(ここでは経済的なことは置いておきます)
梱包材を製造するのに消費するエネルギー量、その梱包材を運搬するエネルギー量、その梱包材を最後に燃やして処分するエネルギー量、再利用される場合は梱包材をリサイクルするのに使うエネルギー量、従業員が会社にやってくるのに消費するエネルギー……
もっと細かく突き詰めると運搬に使うトラックを製造するエネルギーであったり、道路を作るエネルギーといったものも加算されていくでしょう。
農作物であれば、肥料を作るエネルギー量、畑を耕すエネルギー量、収穫、運搬に使うエネルギー量、お店に並べて照明や保存目的で冷房に使う電力、それらに関わる人的なコスト……。
これらのエネルギー消費(動力源の元になるエネルギー)が全てクリーンエネルギーの電力によるものであればいいのですが、残念ながら現実社会は、そのようにはなっていません。
これは例え話ですので、実際に計測した数値ではなく、まったく根拠のない数値になりますが、生産活動から私たちの暮らしの中で利用されるに至るまでに使われるエネルギーを数値化した場合、私たちが本当に有効に利用できるのは100のエネルギーを消費して、そのうちの20くらいではないでしょうか。
残りの80のうちの20はリサイクルされるとして(資源もエネルギーと計算します)
結局、100のうち60のエネルギーを無駄に捨てていることになるのです。
しかし、100のうち20がリサイクルされる筈ですが、実際にはリサイクルするのには運搬などエネルギーを消費してしまうのでエネルギー(資源)の再利用は5くらいだと思います。
つまり100のエネルギーのうち25は有効に利用または再利用することが出来るが、残りの75は無駄にしていることになるのです。(この数値は例え話をするために適当に出しただけで全く根拠がありません)
エネルギー消費については、初めから捨てることで成立してる部分があり、「廃棄食品」や「形の悪い農作物」などは生産にエネルギーを費やしたのに、私たちにとって何一つ有効活用されていません。
こういった問題は、従来は倫理観や経済的な問題として捉えられていましたが、エネルギー消費の面から見ると、非常に効率が悪いと考えられます。
他にも計測されないこととして、トラックが荷物を運搬している時に信号待ちや渋滞に巻き込まれた時のエネルギー消費であったり、 従業員が会社に来るエネルギー消費というのもあります。
そして、必ず、これらのエネルギー消費とセットで環境負荷がかかるのです。
クリーンエネルギー以外のエネルギーには全て環境負荷がかかる。
環境に与える影響を減らすには
クリーンエネルギー(発電)を推進すること
そして、このブログで取り上げている
「自動運転車」・「EV車」・「AI」・「ロボット」・「無人配送システム」によって「エネルギーの有効利用・効率化」と「環境負荷」の問題が解決し、本当の「循環型社会」が実現します。
今回は「無人配送システム」のタグの仕組みについての紹介でした。
次回は無人配送にとって重要な仕組みである「未来の容器」の話をしたいと思います。