未来は突然やってくる

20XX年の未来予想

無人農業 (1) 農業はソフトウェアによって無人化する・AI農業

無人農業の時代がやってくる


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未来の農業はAI・ソフトウェアによって無人化へ向かう。


みなさんの中にはAI・ロボット・自動運転車と聞くとハイテクなイメージを持たれる方も多いかと思われますが、それらは今後、ハイテクの分野にとどまらずに将来的には自然の「土」や「肥料」によって成り立っている昔ながらの「農業」の分野にまで進出することになると考えられています。

今回は「未来の農業」がどのような形に姿を変えていくのかを大胆に予想したいと思います。

結論から言えば「未来の農業」は無人化へと向かうことは100%確実で、このブログで取り上げてきた「自動運転車」「AI」「ロボット」「無人配送システム」が組み合わさることによって実現します。

未来の世界では農業用地、つまり畑、田んぼ、ビニールハウスに至るまで全ての農地を、「農業専用のソフトウェア」がデータとして把握して管理することになるでしょう。

農業用地のデータ化が行われ、データとして扱うことが可能になる。(その目的は地域による気候の差や土壌のタイプ、農地の面積によって適した作物の種類が変わってくるからです)


将来、農業用地のデータ化も含めて、人間が農業をするよりも効率の面で優れたAI搭載のソフトウェアの開発が進み、無人農業が行われると予想しています。

まず、人よりも優れているのは「どの作物を育てればいいのか」といった究極の問題をAIが人間に代わって答えを導き出してくれる点です。

この仕組みは沢山の農業ソフトが稼働するほど統計情報の正確性が上がるので、ある特定の作物を作り過ぎることや、生産数が少な過ぎるといった問題が解決します。

この農業ソフトウェアは別の仕組みの「自動運転車」「ロボット」「無人配送」と、それぞれを「繋ぐ技術」によって上手く連携を取りながら無人農業を実現します。

では、どのように未来の農業が変わっていくのか、その仕組みを紹介しましょう。

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無人農業の仕組み

1 農業をソフトウェアによってコントロールする(AI農業)


まず、全体の農業プラン・農作業を管理するのはソフトウェアになる点を理解して下さい。

厳密に言えば、無人農業ソフトウェアと言った方が正しいのかもしれません。

これは、あらゆる作物・地域・土壌の条件に対応します。

「農業用地のデータ化」によって農地自体をソフトウェアで扱うことが可能になります。


データ化は農業用地の面積、地域による気候の差や土壌の傾向を把握するために利用されます。

どの時期に、どのタイミングで、どれだけの面積に種を蒔いたり、苗を植えるか、土壌改良・肥料・石灰・農薬散布・収穫作業までもソフトウェアが細かく指示を出します。

当然、土壌の状態や成長具合もリアルタイムで管理します。

収穫時期はネットの天気予報を参照し、どのタイミングで収穫作業を行えば良いのかをソフトウェアが計算します。

このソフトウェアをイメージしてもらうには、分かり易く理解し頂くための例え話になりますが、仕事でビジネスソフトを扱うように習熟した操作や知識を必要するというよりは、どちらかというと、「街を造るタイプ」のシュミレーションゲームでコンピューター側が、勝手に最適解を導き出して、街を大きくしていく様子をデモンストレーションして見せてくれるのを、ゲームプレイヤーである私達が眺めているような感じになるでしょう。

未来の世界では、人間が農作業に介入するのは、管理者として最終決定をするためにパソコンやタブレット端末で確認の「OK」を押すだけで済むようになります。



2 農業機械は自動運転化されAI制御になる


従来までの様々なタイプの農業機械は自動運転化され、AI制御で農作業を行う。

農業機械はAI・ソフトウェアによって動かされます。

今まで人が行ってきた農業機械を動かすという作業はAI・ソフトウェアが代替するようになるでしょう。


こちらは自動運転を実演している動画です。


当然、農作業の中には農業機械の調整や、苗、肥料、農薬をセットする作業、収穫作業というのが必ず発生しますが、その作業も将来は何らかの方法で自動化される仕組みになると思います。

種、苗、肥料、農薬はタグ管理と画像認識を活用することによって農業機械にセットしますが、それらは無人農業に対応した特殊なケースに入っているので、セットする作業というのも、ほぼ自動化になると考えられます。

そうはいっても構内の管理された倉庫作業というわけではないので、こまかな農作業に関しては、ある程度の自動化は進んだとしても完全には難しい部分も残るはずで、そういった、こまかなセット作業や選別作業などは農業用のアームロボットを活用する必要があるかも知れません。

しかし、その場合でもロボットはソフトウェア制御されるので人間が介入する必要は無くなります。


3 農業用ロボット


3-1 農業用アームロボット


AI制御の農業用アームロボットが、従来は人が作業をしていた収穫作業、野菜の選別作業、ケースに入れる作業、除草作業、農業機械に農薬や肥料をセットする作業などを行います。

農業用アームロボットの場合は活用される場所が畑ですので、倉庫作業と比べても環境が極めて悪く、凸凹の畑、砂埃や強風、天候の悪化による故障などロボットのハード面における問題が多いのは確かですが、しかし、それ以外の部分では決して悪いことばかりではなく、そもそも倉庫や工場などを建設する必要がないので、農業用アームロボットの開発、製造そして運用までというのは別の面から見るとハードルがそれほど高くはないと考えられます。

農業用ロボットの導入が容易であるとする理由としては、

「畑の中には人がいない」
「農作物以外には何もない」
「設備投資が不要」
「開発環境に制約がない」
「既にロボットの原型や農業機械が存在している」
「高速な通信網、精度の高いGPSが使えること」
「画像認識、RFID(ICタグ)、タブレット端末が利用できる」
「農業が技術として既に完成されている」

という好条件が揃っているからです。

「屋外」「土の上」というロボットにとっては劣悪な環境さえ克服することが出来れば一気に普及が進むと思います。

○単純に考えられるアームロボット導入のメリットとしては、例えばトマト、キュウリ、ナス……などの果菜類を収穫するのを想像して見て下さい。

mirainosekai.hatenablog.com

従来のように人が作業をする場合には、おそらくハサミなどを使うと思いますが、その作業を人が何十時間、何日も続けるとどうなるでしょうか?ハサミを持っている手の皮が剥けてきたり、手首が痛んだり、しゃがみこんで前傾姿勢になったりするので、腰痛にもなります。

ハサミを使わずに専用の電動カッターを使う場合は、ハサミを使うよりも指の負担は軽減されると思いますが、今度は逆にハサミに比べて重量が増えるのは確実なので、どちらを使うにしても身体への負担は無くなりません。

それが農業用アームロボットの場合は、ハサミそのものがハンド部分に備え付けらていて24時間、何日でも1ヶ月でも1年でも、ハサミの刃を交換して、バッテリーを充電しながら作業を続けることが出来るのです。

これは極端な、あり得ない条件ですが、もし、人が果菜類の収穫を行う場合、ハサミを使う作業を朝から夕方まで100日間続けられるでしょうか?ハサミを使う作業だけでなく収穫したものを運ぶ作業もありますので、腱鞘炎や腰痛にならないでしょうか?

こういった根本の問題を解決するためには農業用アームロボットの活用、そして無人農業化を進める必要があるのです。


※無人化というと労働の問題が絡んでくるので、人がロボットやAIに役割を奪われるとネガティブに捉える人もいるかと思いますが、もっと分かりやすく無人化の本質を説明すると、

○重い荷物を持ってる人が高層ビルの最上階まで
「エレベーターに乗って一瞬で行くのか?」
「エレベーターを使わずに階段で行くのか?」

どちらを選びたいのですか?といった話なのです。


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表層だけ見ると気付かないですが、実は人類が積み重ねてきた農業技術の歴史が「無人農業」の中には、しっかりと引き継がれているので、決して私たちの存在が否定された訳ではありません。

農業だけでなく、あらゆる産業の「無人化」の流れに対しては出来るだけポジティブに捉えた方がいいでしょう。


3-2 農業用のUGV(Unmanned Grounded Vehicle 無人地上車両)AGVが運搬作業を行う。


倉庫や工場の構内で利用される無人搬送車を、畑でも運搬作業を行えるようなタイプへと改良したものが農業用のUGV・AGVで、無人農業ではアームロボットと組み合わせて活用されるでしょう。

収穫はアームロボットが行い運搬はUGV・AGVが行うといった具合に種類の違うロボット同士が連携を取りながら農作業を行う。

mirainosekai.hatenablog.com

要するにアームロボットとUGV・AGVが、従来まで人が行ってきた「手作業」としての農作業を代替するようになるのです。


○予想としてはアームロボットは、ほぼデュアルアームタイプになると思います。

ロボットのサイズは大き過ぎず、小さ過ぎず全長は1mほど、ロボットには砂埃が侵入しないように高精度なフィルターが付けられ、雨天なども想定して防水性を持ったカバーに覆われるのではないでしょうか。

移動に必要なのはオフロードのタイヤなのか?それともゴム製のキャタピラータイプになるのかといったところまでは予想出来ませんが、タイヤの場合は4輪タイプで安定性を重視したものになると考えられ、同時にロボットは構内のコンクリートの上を移動す訳ではないので高出力が要求されるでしょう。

未来の世界では「バッテリー革命」が起きてバッテリーの高出力化と小型化と軽量化が進むと予想しますが、しかし、いきなり、そうなるわけではなくて実際には少しずつ段階的に性能が上がっていくと考えると、無人農業の初期の頃は「農業用アームロボット」と「農業用UGV・AGV」を何十台も使い、バッテリーが切れることを想定しつつ交代制で充電しながら運用していくことになると思われます。


将来的にはAIによる自律走行が可能になれば人が農地にいる必要がなくなるでしょう。

動画にあるようなUGVタイプにアームが取り付けられることで農作業を実現します。

広大な土地の場合、ロボットの台数も増え、ロボットを充電するためには専用の充電車(呼び方は給電車、電力車?)が必要になるのではと予想しています。

ロボットの導入で農業全般の最適化が行われる


無人農業は農業用地の面積にもよりますが、AI制御の農業機械、数台から何十台もの「農業用アームロボット」「農業用UGV・AGV」を駆使して収穫、選別、運搬といった簡単な作業を行いますが、実際は、それ以外にも農作業の中には、直接の農作業とは関係のない作業が数多く発生します。

たとえば支柱を立てる作業、ポリマルチを敷く作業、ビニールハウスを組み立てる作業……などですが、これらは完全に無くなる訳ではないですが、農業ソフト・AI・ロボットの導入で農業の無人化・効率化が進み、農業そのものの「最適化」が行われると、別の方式に切り替わったり、そういった作業が構造的に不要になると予想しています。


4 ドローン・小型の無人飛行機、無人ヘリコプターなどを活用


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4-1 ドローンが作物の成長具合を確認する。


未来の世界ではドローンはAI制御で飛び回り、機体にはカメラが搭載されているので「人間の目」の役割を持つようになるでしょう。

ドローンに搭載されたカメラ機能は農作物の成長具合を確認するのに活用されますが、案外ここで勘違いする人がいると思うので、簡単に説明しますと、

まず、ドローンが畑に飛んでいって農作物の成長具合、畑の状態を知るために低空飛行して近接で撮影します。(上空からも写真や映像で捉えます)

ここで重要なことは

その画像を分析するのは「人間ではない」ということです。


次に、集めた画像を初めに説明した「農業ソフト」によって畑の状態や成長具合などをAIが分析します。

画像から葉の付き方や大きさ、色などを分析し、今後の農作業のプランを立て、最適な指示を出します。

画像認識の仕組み自体は、別にドローンを使わなくても畑のどこかに設置型のカメラをつけることで実現出来ますが、広大な土地や農作物の種類が豊富な場合などは、膨大な数の設置型カメラを備え付ける方向性よりはドローンが飛び回る方が遥かにメリットがあるでしょう。

もう一つ大きな理由は農業用地の上空をドローンが飛行しても、畑には人がいませんので100%安全性が確保できることから、

ドローンが最も活用される分野は農業だと考えられます。(安全性の面で都市部で運用するのは難しいでしょう)


ただし、ドローンはメリットばかりではなく悪天候には弱く、設置型のカメラの必要性は残ります。


4-2 サンプルを採取したり、農薬散布に活用


高度な仕組みが必要になりますが、ドローンに採取用の機能が備わっていれば、土を採取、葉の一部を採取といったことが可能になり、その採取したものを「解析を専門に扱う業者」に無人配送で送り、解析した情報をAIが活用します。

未来の世界では農薬散布などは、ドローン、小型のヘリや飛行機が無人化して自動で行われるようになるでしょう。



農業用ドローンの開発が進んでいるようです。

○AI・ソフトウェアを中心にして、今回紹介したものを、まとめてワンパッケージ化したものを導入して運用するのが無人農業になります。


○農業機械、各種ロボット、ドローンなど大掛かりになる未来の無人農業は「解析作業」や得られた膨大なデータを適切に扱う必要があるため、将来は「ソフトウェア」自体がクラウド化して提供されるかも知れません。


この無人農業は「繋ぐ技術」によって無人配送システムと一体化します。
mirainosekai.hatenablog.com


次回も無人農業について詳しく取り上げたいと思います。